第3回|「歩行の軸をつくる」——オーダーインソールが生理歩行を取り戻す理由

前回は、「歩行を整えるためには、まず靴のサイズを正すことが絶対条件である」というお話をしました。サイズの合う靴は“歩行の土台”。そして今回のテーマであるオーダーインソールは、その上に乗る“歩行の軸”をつくる存在です。

こもれび治療院のインソールは、市販品のクッションとは全く別物です。足型を手書きでトレースし、足の癖・体の歪み・歩行の特徴を読み取りながら、1時間かけてその場で製作する「完全オーダーメイド」。これによって初めて、生理歩行に近づくための準備が整います。

インソールの役割は「衝撃吸収」ではない

一般的に、インソール=衝撃吸収というイメージを持たれがちです。しかし、生理歩行を取り戻すために必要なのは“衝撃吸収”ではありません。本当に大切なのは、地面反力を正しく身体に伝えることです。

こもれび治療院では、次のような視点でインソールを製作します。

  • かかとの安定をつくり、仙骨までの軸を通す
  • 足裏で地面反力を受け取りやすくする
  • 母趾への荷重をスムーズに導く
  • 歩くたびに身体が前へ“勝手に”進む感覚をつくる

これは単なる敷物ではなく、「歩行そのものを変える構造物」です。

なぜインソールで歩行が変わるのか?

歩行は、“足裏→仙骨→脊柱→脳”へと連鎖する情報伝達の動作です。この最初の入口となる「足裏」が乱れていると、いくら施術で身体を整えても、歩いた瞬間に元の癖が再発してしまいます。

インソールは、この「最初の入口」に正しい情報を入れる装置です。足裏の接地が整うことで、以下のような変化が起こります。

  • 歩行中のブレがなくなり、ふらつきが減る
  • 膝・股関節のねじれが減少する
  • 腰や骨盤の負担が大幅に減る
  • 肩こり・頭痛など上半身の症状も軽減しやすくなる

この変化が起こるのは、こもれび治療院が採用する「構造医学」「神経整体」の視点にも共通しています。
つまり、インソールは足の問題ではなく“全身の治療ツール”なのです。

オーダーインソールの最大効果は「生理歩行の再現性」

生理歩行とは、身体の構造に沿って自然に前へ進む歩き方です。
しかし現代人は、筋力で頑張って歩いたり、重心を前に倒して無理に進もうとしたり、効率の悪い歩行になりがちです。

インソールを使うことで、

  • 足裏が安定する
  • 軸がブレなくなる
  • 地面反力を利用できる

結果、身体は頑張らずに“勝手に進むような”歩行が生まれます。
これは生理歩行に最も近い状態です。

「靴が合っていなければ意味がない」理由

こもれび治療院では、インソール単体の作成を勧めません。なぜなら、靴が正しいサイズでなければ、どんなに優秀なインソールでもその効果を発揮できないからです。

・かかとが浮く
・指先が前滑りする
・足幅が緩すぎる

このような環境では、足裏に正しい圧がかからず、インソールが“歪んだ情報”を伝えることになります。
靴とインソールは、必ずセットで初めて意味を持つのです。

整体の効果が続く人と、戻りやすい人の違い

こもれび治療院に通われる方の中には、

  • 施術後の状態が長持ちする人
  • すぐに元の症状が戻ってしまう人

が存在します。その違いは「歩行環境」にあります。

インソールを使用し、生理歩行に近づけることができる人は、日常生活そのものが“治療の時間”になります。しかし、歩行が崩れてしまう人は、日常生活で身体が再び壊れる方向へ引っ張られてしまいます。

次回は「成長過程の動作と歩行」へ

インソールで歩行の軸が整っても、その動作原理を身体が理解していなければ、生理歩行は完成しません。
次回の第4回では、寝返り・ハイハイ・立ち上がりといった成長過程の動作と、歩行の関係を深く掘り下げていきます。

あなたの身体が本来持っている「治る力」を最大限に引き出すために、歩行を整えるプロセスを一緒に進めていきましょう。

こもれび治療院